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退職金の手取りはいくら?税金の計算方法をわかりやすく解説【2026年版】

2026年3月11日10分で読めます

退職金の税金は「3ステップ」で計算する

退職金にかかる税金は、給与所得とは別に「退職所得」として独立して計算される(分離課税)。他の所得と合算されないため、累進課税の税率が跳ね上がることはない。

計算は次の3ステップで行う。

ステップ1: 退職所得控除額を算出(勤続年数で決まる)

ステップ2: 課税退職所得金額を算出(退職金 − 控除額)× 1/2

ステップ3: 税額を算出(所得税+復興特別所得税+住民税)

このうち最も重要なのがステップ1の退職所得控除だ。勤続年数が長いほど控除額が大きくなり、非課税になる金額が増える。

情報

退職金は「分離課税」で計算されます。年間の給与所得が高くても退職金の税率には影響しません。これは退職金が老後の生活資金であることを考慮した税制上の優遇措置です。

退職所得控除額の計算:勤続年数がすべてを決める

退職所得控除は、勤続年数に応じて退職金から差し引ける非課税枠だ。計算式は勤続20年を境に変わる。

• 勤続20年以下: 40万円 × 勤続年数(最低80万円)

• 勤続20年超: 800万円 + 70万円 ×(勤続年数 − 20年)

障害者になったことが直接の原因で退職した場合は、上記にさらに100万円が加算される。

勤続年数は1年未満を切り上げる。10年3ヶ月なら11年として計算する。以下に主要な勤続年数の控除額を一覧にまとめた。

※勤続年数が1年未満の場合は80万円が最低保証額です。
勤続年数退職所得控除額計算式
3年120万円40万円 × 3年
5年200万円40万円 × 5年
10年400万円40万円 × 10年
15年600万円40万円 × 15年
20年800万円40万円 × 20年
25年1,150万円800万円 + 70万円 × 5年
30年1,500万円800万円 + 70万円 × 10年
35年1,850万円800万円 + 70万円 × 15年
38年2,060万円800万円 + 70万円 × 18年
勤続20年を超えると控除額の伸びが年40万円から年70万円に加速する。長期勤続者への税制優遇は、日本の退職金制度の大きな特徴だ。

課税退職所得金額の算出:原則1/2が非課税

退職金から退職所得控除を差し引いた残りの金額は、さらに1/2にして課税対象額を求める。これは退職金が長年の勤務に対する一時金であることを考慮した優遇措置だ。

計算式: 課税退職所得金額 =(退職金 − 退職所得控除額)× 1/2(1,000円未満切り捨て)

注意

勤続5年以下で退職金が高額になるケースでは、税額が大きく変わる可能性があります。該当する場合は、ヤメラボの退職金税金計算ツールで正確な手取り額を確認してください。

勤続5年以下の特例(2022年改正)

2022年(令和4年)1月1日以降に受け取る退職金から、勤続5年以下の場合の課税が強化された。

役員等(取締役・監査役・執行役員等): 退職所得控除後の全額が課税対象(1/2課税の適用なし)

一般社員: 退職所得控除後の金額のうち、300万円以下の部分は1/2課税を適用。300万円を超える部分は全額課税

この改正は、短期間で高額の退職金を受け取る「天下り」や「渡り」に対する課税強化を意図したもの。一般社員で勤続5年以下の場合でも、退職金が控除額+300万円以内であれば従来通り1/2課税が適用されるため、影響は限定的だ。

税額の計算:所得税・復興特別所得税・住民税

課税退職所得金額が確定したら、3種類の税金を計算する。退職金の税額は「退職所得の受給に関する申告書」を会社に提出していれば、会社が源泉徴収で処理するため自分で納付する必要はない。

  1. 所得税: 課税退職所得金額に累進税率を適用。税率は5%〜45%の7段階で、所得が高いほど税率が上がる
  2. 復興特別所得税: 所得税額 × 2.1%。東日本大震災の復興財源として2037年(令和19年)まで課税される
  3. 住民税: 課税退職所得金額 × 一律10%(都道府県民税4%+市区町村民税6%)
※所得税額 = 課税退職所得金額 × 税率 − 控除額
課税退職所得金額所得税率控除額
195万円以下5%0円
195万超〜330万円以下10%9万7,500円
330万超〜695万円以下20%42万7,500円
695万超〜900万円以下23%63万6,000円
900万超〜1,800万円以下33%153万6,000円
1,800万超〜4,000万円以下40%279万6,000円
4,000万円超45%479万6,000円

具体例で計算してみよう

実際の退職ケースで手取り額を計算してみる。

条件: 退職金1,500万円、勤続25年、一般社員(非役員)、障害者退職ではない

  1. ステップ1

    退職所得控除額を計算

    勤続25年(20年超)→ 800万円 + 70万円 ×(25年 − 20年)= 800万円 + 350万円 = **1,150万円**

  2. ステップ2

    課税退職所得金額を計算

    (1,500万円 − 1,150万円)× 1/2 = 350万円 × 1/2 = **175万円**(1,000円未満切り捨て)

  3. ステップ3a

    所得税を計算

    175万円 × 5% − 0円 = **87,500円**

  4. ステップ3b

    復興特別所得税を計算

    87,500円 × 2.1% = 1,837.5円。所得税と合算後に端数切り捨て → 87,500 + 1,837.5 = **89,337円**

  5. ステップ3c

    住民税を計算

    175万円 × 10% = **175,000円**(100円未満切り捨て)

  6. 結果

    手取り額

    退職金1,500万円 − 所得税等89,337円 − 住民税175,000円 = **14,735,663円**(税負担は約1.8%)

ポイント

自分の退職金・勤続年数で計算したい場合は、ヤメラボの退職金税金計算ツールで手取り額を即座に算出できます。役員・障害者退職にも対応しています。

退職金額・勤続年数別の手取り早見表

退職金額と勤続年数の組み合わせで、おおよその手取り額を一覧にした。一般社員(非役員)、障害者退職ではない前提での概算値だ。

※概算値です。正確な金額はヤメラボの退職金税金計算ツールで算出できます。
退職金勤続10年勤続20年勤続30年
500万円約492万円500万円(非課税)500万円(非課税)
1,000万円約949万円約985万円1,000万円(非課税)
1,500万円約1,376万円約1,437万円1,500万円(非課税)
2,000万円約1,797万円約1,861万円約1,959万円
3,000万円約2,589万円約2,676万円約2,814万円
情報

勤続年数が長いほど控除額が大きくなり、手取り率が高くなる。勤続30年・退職金1,500万円以下のケースでは退職所得控除(1,500万円)の範囲内に収まるため、税金はゼロになる。

「退職所得の受給に関する申告書」を必ず提出する

退職金を受け取る際に、勤務先に「退職所得の受給に関する申告書」を提出するかどうかで、源泉徴収の扱いが大きく変わる。

項目申告書を提出した場合提出しなかった場合
源泉徴収正しい税額を天引き退職金の20.42%を一律天引き
確定申告原則不要必要(還付申告)
手続き退職時に会社に提出するだけ翌年に確定申告で精算
注意

申告書を出し忘れると、退職金の20.42%が一律で源泉徴収されます。退職金1,500万円なら約306万円が天引きされ、確定申告で還付を受けるまで手元に残りません。会社から書類が渡されたら必ず提出してください。

退職金の税金チェックリスト

退職金を受け取る前に確認すべきポイントをまとめた。1つでも漏れると税金を余分に払うことになりかねない。

  • 「退職所得の受給に関する申告書」を会社に提出した
  • 勤続年数を正確に把握した(1年未満は切り上げ)
  • 退職所得控除額を計算し、退職金と比較した
  • 勤続5年以下の場合、1/2課税の特例を確認した
  • 源泉徴収票(退職所得)を受け取った
  • 確定申告が必要かどうか確認した

よくある質問